バルレーヌ:交響曲第1番、第2番
エルサ・バルレーヌは20世紀フランスの女性作曲家。音楽一家に生まれ、9歳でパリ音楽院に入学し、和声・対位法・ピアノ伴奏で一等賞を獲得。1927年にポール・デュカスに師事し、1929年、ジャンヌ・ダルクを題材にしたカンタータ『La Vierge guerriere』でローマ賞を受賞しました。1930年代以降は文学・政治・精神性を作風に反映し、交響曲第2番『Voina(戦争)』などを発表。演奏活動の傍ら、フランス国立管弦楽団やラジオ・フランスで要職を務めました。ユダヤ系であった彼女は第二次世界大戦中、命の危険にさらされながらレジスタンス運動に参加。戦後はパリ音楽院で教鞭をとり、映画音楽にも携わりました。
アルバムに収録された交響曲第1番は、彼女がローマ留学中にパリのアカデミーに提出した作品で、随所にデュカスやドビュッシーの影響が見られる新古典派様式で書かれており、調性は拡張され、不協和音の使用が特徴的です。交響曲第2番は戦争の脅威に対する不安を反映した3楽章構成で、木管楽器が重要な役割を果たします。第2楽章の葬送行進曲は、弦楽の弱音や軍用タンバリンなどにより恐怖と悲哀を描いています。詩人アンドレ・スピールの詩に基づく『ポグロム』のための交響的イラストレーションはナチズムと反ユダヤ主義の台頭に対するバルレーヌの恐怖を表現した作品で、若者の闘志と年長者の諦念という対照的な視点が描かれています。『ティツィアーノの埋葬のための葬送音楽』は彼女の晩年に作曲された唯一の作品で、怒りの日の旋律も想起させるピアノとオーケストラのための厳かな音楽です。
数多くの国際コンクールに入賞、ロサンジェルス・フィルハーモニックの「ドゥダメル・フェロー」にも選ばれた女性指揮者エレーナ・シュヴァルツが指揮するケルンWDR交響楽団の演奏で。(輸入元情報)
【収録情報】
バルレーヌ:
1. 交響曲第2番『戦争』(1938)
2. アンドレ・スピールの『ポグロム』のための交響的イラストレーション(1933)
3. 交響曲第1番(1931)
4. ティツィアーノの埋葬のための葬送音楽(1953)
アルベルト・カルネヴァーレ・リッチ(ピアノ:4)
ケルンWDR交響楽団
エレーナ・シュヴァルツ(指揮)
録音時期:2024年3月4-7日
録音場所:Kolner Philharmonie
録音方式:ステレオ(デジタル)